女史(じょし)とは、学者芸術家政治家などの社会的地位や名声のある女性に対する敬称[1]である。

概要 編集

国語学者の大野晋学習院大学名誉教授は「『女史』という言葉はもともとは中国で女性の書記を表した。日本では、明治時代に、学者や文筆活動をする女性が出てきて使われ始めた。明治時代は、学問をしている女性は傑出しているわけで、女性を一人前に扱う、ということから出てきている。尊敬語だが、『女だから』という思いは入っている」と述べている[2]

マスメディア関係者の一部は下記のような主張をしている。

  • 共同通信社の『記者ハンドブック』では1997年発行の第8版からこの言葉が新たに「差別にあたる言葉」として記載され、最新の第13版でも「差別語、不快用語」欄の中に「性差別」語として「女史→〇〇〇〇さん」と言い換えるように書かれている[3]
  • 時事通信社の『最新用字用語ブック』第7版(最新版、2016年)には「女史〈使わない。「〇〇さん」「〇〇氏」とする〉」と記載されている[4]
  • 三省堂の『マスコミ用語担当者がつくった 使える!用字用語辞典』(2020年)では「女史→〇〇さん(具体名で書く)*男性側に対語がなく、女性を特別視した表現」と書かれている[5]

脚注 編集

  1. ^ 女史とは - コトバンク”. 2021年10月27日閲覧。精選版 日本国語大辞典 「学者、芸術家、政治家などとして活動している女性を敬って呼ぶ語。また、そういう女性の雅号や氏名の下にそえて敬意を表わす語。」 デジタル大辞泉「社会的地位や名声のある女性を敬意を込めていう語。また、その女性の名前に添えて敬意を表す語。」
  2. ^ 高木正幸『差別用語の基礎知識’99 何が差別語・差別表現か?』土曜美術社出版販売、1999年、151頁
  3. ^ 一般社団法人共同通信社編『記者ハンドブック 新聞用字用語集』第13版、共同通信社、2016年、494頁
  4. ^ 時事通信社編『最新用字用語ブック』時事通信社、第7版、2016年、515頁
  5. ^ 前田安正他編『マスコミ用語担当者がつくった 使える!用字用語辞典』三省堂、2020年、324頁

参考文献 編集

  • 1997年4月15日 第8版発行 記者ハンドブック 新聞用字用語集 第13版

関連項目 編集